大島紬がフェラーリ内装に ニューヨークで機織り実演も

奄美の伝統文化
大島紬を使った生地で仕上げられた特別仕様車のフロアシートと座席部分(栄秀吉さん提供)

イタリアの高級車メーカー「フェラーリ」が、本場奄美大島紬を織り込んだ生地を運転席の内装に使用した特別仕様車を製造し、話題を呼んでいる。
大島紬織元のはじめ商事(鹿児島県奄美市名瀬、元允謙社長)が古い紬を裂いて織った生地を、シートのファブリック部分やフロアシート、天井などの素材に使用。
米ニューヨークのショールームで17、18の両日にあった車両の披露イベントでは、元社長(40)が織り機を持ち込んで生地製作を実演し、来場者の注目を浴びた。

「フェラーリ・ローマ」と命名された特別仕様車は、フェラーリ社とニューヨークのインターネットメディアCOOL HUNTING社の共同企画により製造された世界で1台だけのオーダーメード車両。
元さんは、藍色の車体になじむよう藍染めと泥染めの2種類の古い大島紬を細く裁断し、イタリア製の糸で織り上げた。

藍染め技法が使われた車内天井と青い大島紬を取り込んだシート

18日にはトークイベントもあり、イタリアのデザイナーや企画者と共に元社長も参加した。
元社長は「大島紬の新たな可能性を探りたい」と話し、イタリアと日本の技が出合った経緯や、大島紬の歴史や背景なども説明。イベントの様子は現地のテレビ番組でも放映された。

イベントに参加したニューヨーク奄美会の栄秀吉会長は「ニューヨークに長年住んでいるが、ここまで大規模に奄美の伝統工芸が紹介されたのは快挙だ。奄美の豊かな伝統文化が海外から賞賛された事を誇りに思う」と話した。

2022年05月21日 (南海日日新聞社)

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