日本の希少動物・アマミノクロウサギ

標準和名:アマミノクロウサギ
学名:Pentalagus furnessi[ペンタラグス・フルネッシ]
英語名:Amami rabbit[アマミ・ラビット]

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分類:哺乳綱ウサギ目ウサギ科アマミノクロウサギ属。
アマミノクロウサギ属に含まれる種はアマミノクロウサギだけで、一属一種。
大きさ:頭胴長42~51cm、尾長1~2cm、耳の長さ4~5cm、後肢の長さ9cm、
重2kg前後。
●外見の特徴
:体色は全体として焦茶色または黒茶色で、
腹の方はより淡い色になっている。
一部に白い部分があるものもいる。普通のウサギに比べ、
ずっと耳と脚が短く、代わりに爪が長くて強大。
鳴き声:「ピューイ」とか「ピュイッ」といった鳴き声を出し、
アマミノクロウサギ同士は鳴き声で交信する。
食べ物:草食性で、ススキ・カヤツリグサ類などの草やシダ類の葉、
木の落ち葉や枯葉、マテバシイ・ムクロジなどの木の実、
エゴノキ・モチノキ・クヌギなどの木の皮といったものを食べる。
行動の特性:完全な夜行性で、平均すると夜19時頃に巣穴を出て行動を開始し、
朝の6時頃に巣穴に戻って休息に入る。
台風でない限り、雨の日でも外へ出る。一つの巣穴に1~3頭が棲む。
繁殖の様子:年二回、春と秋に出産すると言われる。
一回に生まれる子ウサギは一頭だけのようで、
親が棲んでいるのとは別の巣穴で育てられる。
子ウサギは一ヶ月ほど育児用の巣穴で育てられた後、
母親と同じ巣穴で暮らすようになり、やがて親から離れて自立する。
分布域:世界のうち、日本の奄美大島と徳之島にしか分布しない。

■なぜ奄美大島と徳之島にだけ棲んでいるのでしょうか。
アマミノクロウサギは最も原始的なウサギの一つで,
わが国の奄美大島(面積720平方キロ)と徳之島(面積250平方キロ)にだけ
生息しています。
南西諸島(奄美諸島と琉球諸島)は「東洋のガラパゴス」ともいわれるように,
本土の自然とは異なる非常に特異な生物を育んできました。
南西諸島は第三紀以降たびたび大陸や本土地域との接続と分離を
繰り返してきましたが,この諸島の主要域は第四紀初めに大陸と接続して以来
島として孤立していました。
この過程において,第三紀系または第四紀系の古い種が多く保存されて
きたわけです。
台湾の哺乳類相と類似性もちつつ,固有種としてアマミノクロウサギ,
ケナガネズミ,アマミトゲネズミ,イリオモテヤマネコなどがいます。
アマミノクロウサギは、普通なら化石でしか知ることのできないウサギの
古い姿を生きて見せてくれる種で、その上数が少ないので、
「生きた化石」、「世界で最も貴重なウサギ」とも言われています。

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南西諸島には数多くの島があるのに、その中でもなぜ奄美大島と徳之島にだけ
アマミノクロウサギが生き残っているのか、という点については、
謎が残っています。
一つには、奄美大島にも徳之島にも、西表島にいる
イリオモテヤマネコのような肉食獣が全くいなかったことが挙げられます。
イリオモテヤマネコ自身、南西諸島が大陸とつながっていた時期に
渡ってきた動物だと考えられていますが、なぜ西表島にはヤマネコがいて、
奄美大島や徳之島にいないのかはわかっていません。
とにかく、人間がやってくるまで、奄美大島と徳之島のアマミノクロウサギには
ほとんど天敵といえるような捕食獣はいなかったことが、
彼等の生き残りに大いに寄与したことは間違いありません。
でも、奄美大島と徳之島には猛毒のハブがいるではないか。
ところが、アマミノクロウサギを守ってきた大きな要因はハブが存在したから、
とも言われます。それはどういうことでしょうか。

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